卓球ブーム
日本卓球協会の機関誌が装いも新たに3月から月刊になり、会員へひろくオープンされることになった。卓球界には専門誌である卓球ジャーナルのほかにも、各メーカーのPR誌が4つも出ている。
卓球協会の機関誌は、PR誌にくらべればページ数も当初は少なく、24ページからスタートするが、卓球協会が81年1月現在で7万人になろうとする登録会員の一人ひとりに贈る重要なメッセージを満載する。
ルール変更のニュース、新しい制度や研究結果の発表、公認コーチや選手への技術情報なども盛りこまれる。
卓球はファッショナブルでない、という批評も耳にするが、現代の一流イラストレーターたちの競作によるファッショナブルな表紙は、街をあるくときのアクセサリーになるような、ひとまわり大きいA4版だ。
新装月刊第1号には、1月6日から10日まで東京で開かれた上級公認コーチ講習会へ特別講習として招かれた中国のナショナルコーチ郗恩庭・元世界チャンピオンの講義内容が紹介されよう。
西ドイツの卓球協会の登録人口は計60万人を越した、と先日会ったハンガリーの新聞記者ハモリ氏がいっていた。
それにくらべると、日本の7万人はまだ少ないが、最初のころにくらべれば4割も増えている。心づよいことだ。
小学生、中学生、高校生でも100円で登録でき、自分たちの登録番号をうけられる。みんなで日本の卓球の力を盛りあげよう。
12月の実業団の日本リーグは、いままでで最も水準の高い好ゲームだった、ときく。ここまで育つのに、関係者はたいへんな苦労をはらってきた。
全日本選手権大会のときと、暮れの12月27日にクラブチームの有志たちが集まって交流促進の話しあいが行われた。
学校スポーツや企業スポーツにならんで日本の卓球をささえる脚になるにはまだ力が弱いし、時間もかかる。それにクラブ・スポーツといっても、範囲がひろい。むずかしい問題もたくさんあるが、関係者は熱心なので、よい結果をうむだろう。
第36回世界選手権大会(ノビサド)の日本代表チームの合宿も、たけなわだ。ねらいをしぼり、一人ひとりの責任を明確にしたチーム編成やペアーづくりも期待される。
そして1月末にはエントリーのしめ切りだ。世界選手権大会の勝ち負けも一つの大きな要素だが、いろいろな方面の人たちのたゆまない努力は、かならずまた日本に卓球ブームを呼ぶだろう。そのピークが83年の春であるとよいのだが。
1981年2月
荻村伊智朗
※卓球王国が運営する「王国e Book」では卓球ジャーナルの電子書籍を購入することができます。
王国e Bookはこちら。