心に二の矢をつがえまい
徒然草だかに「此の一矢に定むべしと思へ」と、二の矢をもって的に向かう心をいましめた言葉があったように思う。
日本の代表になったり、学校の代表になったりして試合に出る人は、「自分が出場するために多くの人のチャンスをつぶしている」ことを考えなければならない、と思う。
試合をしたあとで、今後こそは、と工夫をこらすのはよい。しかしながら、試合をする前から、「一回ぐらいは悪くても……」と思うようでは、心に二の矢をつがえたことになりはしないか。
荻村伊智朗
卓球ジャーナル 1972年4月号「発行人から」より