『第2回アジア・アフリカ・ラテンアメリカ卓球友好大会』1975年7月 卓球ジャーナル「発行人から」

第2回アジア・アフリカ・ラテンアメリカ卓球友好大会

第2回アジア・アフリカ・ラテンアメリカ卓球友好大会が7月13日から26日まで、ナイジェリアの首都ラゴスで行なわれる。

この大会は第1回を1973年8月に中国の首都、北京で開かれたものである。

第1回大会は90カ国が参加したが、この第2回大会ははたして何カ国ぐらいが参加するであろうか。今年の2月カルカッタで行なわれた第33回世界卓球選手権にはおよそ60カ国ほどの参加であったので、もし、90カ国ていどが参加するとすれば、世界選手権大会を凌ぐ盛大な友好大会となることはまちがいない。

今年は国際婦人連会議がメキシコで行なわれた。ここでの決議案は第三世界代表の強い団結力によって、第三世界の意向を強く反映した決議案が採択された。いま、日本のみならず先進諸国の人びとの関心は、おもむろに第三世界へと向きはじめている。

卓球の場合、日本はアジアの一員として新しい形のリーダーシップをいちはやくとって、アジア卓球連合を結成し、アジア・アフリカ卓球大会に参加し、そして、アジア・アフリカ・ラテアメリカ卓球友好大会を準備する一員となった。

第3回大会はメキシコが立候補するものと予想されているが、もしこの大会が第4回、第5回と続くとすれば、必ず日本にという声が各国の人たちからあがってくるにちがいない。

昨年4月に行なった第2回アジア卓球選手権大会は2億7,000万円の予算と決算で行なわれた。

もしこれに3倍する人数を集めた3A大会が開催するとすれば、インフレもあってその経費がどれほどになるかは私たちもまた見当がつかない。しかし、もし日本にそのようなチャンスがあたえられたならば、卓球界の一員としてぜひこれを成功させたい、とおもう。

第2回3A大会は友好の大会であり、勝負の大会ではない感じがあるが、その中でも日本男子を追う朝鮮、インド、インドネシアなどの強豪の挑戦をしりぞけ、ナイジェリア、ガーナ、トーゴ、エジプトなど、ヨーロッパスタイルのアフリカ勢の相手もし、そして中国に肉迫することになろう。

この大会が終わった8月には、福士構想による世界選手権強化対策の一環としての選抜大会が始まるだろう。この強化方式には従来の2倍の強化予算が必要とされている。インフレのもと日本卓球界がとりくむ困難はいろいろとあるが、役員も選手も、それぞれの立場で日本の将来のためにベストをつくすごとが日本卓球黄金時代の再現へつながることになろう。

第1回アジア卓球連合技術交流大会

第2回アジア卓球連合技術交流大会の組織委員会がいよいよ発足した。総予算は3500万円。日本卓球協会の拠出金が1200万円。その他は主として募金によって調達することになっている。

不況の深刻化しているおりら、指導者の研修という地味な大会の性格上、募金の目安はそう簡単なものではない。しかし、この大会が成功裡に行なわれれば二つの大きな意義があるだろう。

一つは申すまでもなく、アジアの30カ国から集まってくるとおもわれる指導者の質的な向上をもたらし、日、中、朝だけでなく、インドシナからも、西アジアからも世界の強家が生まれる日が早やまるだろう。

第二は、同時に行なわれる予定の日本卓球協会中央指導者研修会の成果である。日本卓球協会の普及部が計画をしているこの中央指導者の研修会に集まった各支部の代表者は、それぞれの支部において年度内に公認指導者の育成を行なう予定、とされている。が、無監査で資格を与えられるキャリアの豊富な指導者たちとともに、若いコーチ志望が一定の研修をつんではれて日本卓球協会の公認指導員の資格を得、日本卓球協会から定期的な情報サービスを得て、コーチ活動に精彩を増す日も近いだろう。

57,600回

日中交歓卓球大会を見る。すばらしいラリーが続く。1ポイントをとるのに10回も、20回も精魂をこめた全身の力をふりしぼったダイナミックな動きがあり、力強い腕の振りが行なわれる。

平均してみると、卓球のラリーは1ポイントをあげるのに何本ぐらいつづくのであろうか。日本にははっきりした統計がないので断定はできないが、かりにここで1ポイントが終わるまでに4回の全力動作があるとしよう。読者であるあなたが世界選手権大会に出場するとしてみよう。あなたは世界の強豪を相手にすばらしい動きをし、おもいきり腕を振る。そして4回の動作と腕の振りで1ポイントが終わる。大接戦になる。21対19で勝ったり負けたりする伯仲の試合が続く、としよう。

1ゲームが終わるのに40ポイントである。40ポイントが終わるまでにあなたは160回の激しい動作をする。1マッチが5ゲームスとした場合、3対1が平均であろう。4ゲームスであなたは640回の激しい動作をする。

さて、一日に卓球選手は世界選手権大会でどれだけの試合をこなさなければならないだろうか。

国際卓球連盟のルールによると朝3試合、午後3試合、夜3試合が最大限の試合数とされている。つまり、卓球選手は1日に9試合のスケジュールを組まれても、それに笑顔でこたえなければならないのである。

私自身も世界選手権大会で1日に37ゲーム、35ゲームと、たくさんの試合を行なったことがある。地域の競技大会などでは1日に10試合以上を戦ったこともある。そのようなことを考えた場合に、もし最大限の9試合を行なったとしたならば、あなたは5760回の激しい動作をくりかえさなければならない。そして、世界選手権に出場した場合には10日間の試合を日本代表選手としてふるに活動し、57,600回の激しい動作をくりかえすことになるであろう。しかも、この57,600回目の動作が自分の得点にむすびついたかどうかが最後の勝敗を決めるのである。

ということは57,600回の激しい動作を10日間にくりかえして、最後のショットが一番いきいきとして一番すばらしいということが望ましいわけである。ということは57,600回目はやっと手を振った、やっと足を動かしたというのではいけないというなことである。

そうするとあなたの体力はおよそその倍を平気でこなせるようでなくてはいけないのではないだろうか。

この夏、学校の休みを利用して体を鍛えようとしている読者の諸君は、この数字をよく頭にきざんで自分のコンディションづくりに励んでもらいたい。

1975年7月

荻村伊智朗

1975.6.第2回アジア・アフリカ・ラテンアメリカ卓球友好大会

 

※卓球王国が運営する「王国e Book」では卓球ジャーナルの電子書籍を購入することができます。

王国e Bookはこちら。

https://world-tt.com/blog/news/ec/ebook?sale_sub_category=F

関連記事一覧

  1. 1975.8.オラウータンの社会復帰、チャンスボール
  2. 1975.10.無題(カルカッタ世界選手権が終わろうとしている。―)
  3. 1975.3.解決できない条件があってもよい解決できない条件を孤立させよう
  4. 1975.12.復元力
  5. 1975.9.岩手の美術館
  6. 1975.3.田中利明の掲載を終えるにあたって.江口富士枝伝の連載について

Translation

最近の記事

  1. 日本の千人創刊号表紙
  2. 青卓会会報No.17
  3. 日本卓球、今後の興隆策について
  4. 卓球ジャーナル1987冬表紙
  5. 青卓会新会報ナンバー5
PAGE TOP