『地方指導者の中国参観』『首をたてに振る」1971年8月 卓球ジャーナル「発行人から」より

地方指導者の中国参観

多数の地方指導者が中国参観の旅にでかけました。地方の指導者に国際感覚を、中高校の指導者に世界を目標とした指導感覚を、と要望している卓球界の声が実現したことは日中両国の卓球界のために喜ぶべきことです。

やがて、一歩進んで両国のコーチの交換も実現するでしょうし、中国型の日本選手を中国で指導してもらったり、日本型の中国選手を日本で指導したりするようになるでしよう。

それにしても、中国が文化大革命に勝利してからわずかの日月の間に世界の卓球界に与えた影響は計りしれないものがあります。それまでの数年間に比べてみたとき、中国再登場に伴う国際卓球界の動きの大きさをつくづく感じさせられます。

と同時に、中国がなければさしたる動きがない国際卓球界の力不足をも痛感させられます。中国から受けるだけでなく、与えることのできるような力をもつように、お互いに努力しなければならないと思います。

そうした意味でも、今回の参観団のかたがたが中国から多くを学び、その経験を国内の多くの人達の共同の経験として伝えられるよう十分に見学され、健康で帰国されるよう希望します。

首をたてに振る

スポーツがやれることは若いことで、若さには未来を自分の手で切り拓く自信がつきものでしよう。たとえその道が、どんなに人と違っていても、自分の心に照らして、これしかやりようのない偽りのないやりかたであるのならば、目先きの失敗や不詳に、超然たる熊度でいられるはずです。

一つの時代を画するということは、変化する新しい時代の要請を他に先んじてキャッチしてモノにすべく努力し、そして実現に成功した、ということでしよう。

新時代には、常に意外性があるのはそのためでしよう。

日本の卓球を下降線から上向きにしてやろう、というほどの大きな夢を抱かなくても、自分の夢を実現するためにはそれぞれの場で大なり小なり新時代を画さなければならないのではないでしょうか。

エラーをしたらすぐ原因をチックする、そして次の機会の対応策を考える、ここまでやれば首はたてに振れるはずです。

得意泰然の失意超然、という言葉があります。練習場や試合場でのそぶりの軽々しい選手が目立つおりから選手の諸君にこの言葉を贈りたいと思います。

一本抜かれたり、凡ミスしたりしたときの未練がましい態度、すぐ首をかしげる自信なげな態度、あきらめのテレかくし笑い、大げさなくやしがり、ちょっとしたことに腹を立てて試合を投げる、変に試合なれしたオドケた態度、ちょっとした傷にも大げさに顔をしかめる、多いようです。第一線の選手ほど気をつけたいものです。

堂々の自信のぶつかりあい、そうした試合をこの秋には多く見せて下さい。

1971年8月

荻村伊智朗

地方指導者の1971-8

 

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